「ネット銀行は店舗がないけれど、本当に安全なの?」「もしネット銀行がつぶれたら、預けているお金は戻ってくる?」「預金が1,000万円を超えていたらどうなる?」
ネット銀行の口座開設を検討している方や、すでにネット銀行を利用している方のなかには、このような不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、日本国内の預金保険制度の対象となるネット銀行であれば、万が一銀行が破綻しても、一定の範囲で預金が保護されます。 利息の付く普通預金や定期預金は、原則として1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
ただし、すべての金融商品が保護されるわけではありません。また、銀行の破綻と、インターネットバンキングの不正利用やシステム障害は別の問題です。
この記事では、ネット銀行の安全性、破綻した場合の預金の取り扱い、預金保険制度の仕組み、利用者ができるリスク対策をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- ネット銀行は安全なのか
- ネット銀行がつぶれたら預金はどうなるのか
- 預金保険制度で保護される金額
- 1,000万円を超える預金の取り扱い
- 外貨預金や投資商品は保護されるのか
- ネット銀行を安全に利用するための対策
ネット銀行は安全?まずは結論から解説
ネット銀行だからといって、店舗型の銀行より危険というわけではありません。
銀行の安全性を考える際には、店舗の有無だけでなく、金融機関としての監督や預金保険制度、セキュリティ対策などを確認することが大切です。
ネット銀行も預金保険制度の対象になる
日本国内に本店を置く銀行など、預金保険制度の対象となる金融機関については、ネット銀行も制度による預金保護の対象になり得ます。
対象となる金融機関の普通預金や定期預金などは、制度で定められた範囲内で保護されます。
ただし、ネット銀行という名称だけで判断するのではなく、実際に口座を開設する金融機関が預金保険制度の対象であることを確認しましょう。
参考:金融庁「預金保険制度」
店舗がないことと、銀行の安全性は別の問題
ネット銀行は、スマートフォンやパソコンを通じて取引できるよう、オンライン中心のサービスを提供しています。
そのため、店舗に直接相談できないことや、システム障害が発生した際に取引しにくくなることなど、店舗型の銀行とは異なる注意点があります。
一方、店舗がないという理由だけで、預金が保護されなくなるわけではありません。
銀行を選ぶときは、次のポイントを確認しましょう。
- 預金保険制度の対象金融機関か
- 普通預金や定期預金の金利・条件はどうか
- ATMや振込の手数料はいくらか
- 不正ログインや不正送金への対策があるか
- 障害発生時の告知や問い合わせ窓口が整備されているか
大切なのは、ネット銀行だから安全・危険と決めつけず、預金保護と日常の利用リスクを分けて考えることです。
ネット銀行がつぶれたら預金はどうなる?
ネット銀行が経営破綻した場合でも、預金が必ず全額失われるわけではありません。
日本には、金融機関が破綻した場合に預金者を保護するための「預金保険制度」があります。
一般に「ペイオフ」と呼ばれる預金保護の仕組みです。
普通預金・定期預金は原則1,000万円まで保護される
利息の付く普通預金や定期預金などは、1金融機関ごとに預金者1人あたり、合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
例えば、あるネット銀行に普通預金700万円、定期預金500万円を預けている場合を考えてみましょう。
| 預金の種類 | 預金額 |
|---|---|
| 普通預金 | 700万円 |
| 定期預金 | 500万円 |
| 合計 | 1,200万円 |
| 預金保険制度で保護される元本 | 1,000万円まで |
| 保護の対象を超える元本 | 200万円 |
このケースでは、同じ銀行の普通預金と定期預金が合算され、元本1,000万円までが保護されます。
残りの200万円と、それに対応する利息等は、破綻した金融機関の財産状況などによって取り扱いが決まります。全額が戻るとは限りません。
なお、実際の保護額には、保護対象となる利息等の計算も関係します。
1,000万円を超えた部分はどうなる?
預金額が1,000万円を超えていても、超過分が必ず失われるわけではありません。
保護の対象を超えた部分は、破綻した金融機関の財産状況に応じて支払われます。ただし、一部が支払われない可能性があります。
そのため、1つの銀行に多額の預金を集中させている場合は、資金の置き場所を見直すことも選択肢になります。
預金保険制度で保護されるのは銀行ごと
預金保険制度の保護限度額は、原則として金融機関ごとに計算します。
例えば、預金保険制度の対象となるA銀行とB銀行に、それぞれ800万円ずつ預けている場合、両行が別々の金融機関であれば、それぞれの銀行で保護限度額を判定します。
一方、同じ銀行の普通預金と定期預金に分けても、保護限度額が別々になるわけではありません。
なお、同一の金融機関で複数の口座を持っている場合は、原則として同一名義の対象預金を合算して計算します。
預金保険制度とは?保護される預金・されない預金
預金保険制度は、金融機関が破綻した場合に、預金者などを保護するための制度です。
対象となる金融機関が破綻した際には、制度に基づいて預金の払い戻しなどが行われます。
ただし、預けているお金なら何でも保護されるわけではありません。
預金保険制度で保護される預金
主な保護対象は、次のとおりです。
| 預金の種類 | 保護の範囲 |
|---|---|
| 利息の付く普通預金 | 1金融機関につき元本1,000万円までとその利息等 |
| 定期預金 | 1金融機関につき元本1,000万円までとその利息等 |
| 貯蓄預金 | 原則として上記と同じ |
| 当座預金 | 決済用預金の要件を満たす場合は全額保護 |
| 無利息型の普通預金 | 決済用預金の要件を満たす場合は全額保護 |
決済用預金は全額保護される
預金保険制度では、次の3つの条件をすべて満たす預金を「決済用預金」として扱い、全額保護します。
- 無利息であること
- 預金者がいつでも払い戻しを請求できること
- 振込や引き落としなどの決済サービスに利用できること
ただし、単に無利息の預金であれば必ず決済用預金になるわけではありません。契約内容を確認しましょう。
外貨預金は預金保険制度の対象外
ネット銀行で外貨預金を利用する場合は注意が必要です。
外貨預金は、原則として日本の預金保険制度による保護の対象外です。
そのため、外貨預金を取り扱う銀行が破綻した場合、円預金と同じ保護を受けられるわけではありません。
また、外貨預金には為替相場の変動によって円換算した資産価値が変わるリスクもあります。
外貨預金を利用する場合は、銀行の破綻リスクと為替変動リスクの両方を理解しておきましょう。
投資信託や株式なども預金とは別の仕組み
ネット銀行やグループ会社のサービスで投資信託、株式、債券などを購入している場合、それらは預金とは異なる金融商品です。
預金保険制度によって投資元本が保証されるわけではありません。
金融商品によって適用される保護の仕組みは異なります。購入先の金融機関や商品の説明を確認することが大切です。
ネット銀行が破綻したら、すぐにお金を引き出せる?
銀行が破綻した場合、預金保険制度による保護があるからといって、いつでも通常どおりにお金を引き出せるとは限りません。
破綻処理の方法や事務手続きによっては、払い戻しや振込などに影響が出る可能性があります。
預金が引き継がれる場合がある
破綻した銀行の預金などが、別の金融機関に引き継がれる場合があります。
このような場合には、預金保険機構による資金援助などの仕組みが利用されることがあります。
保険金の支払いなどによって保護される場合もある
破綻時の処理方法によっては、預金保険制度に基づく保険金の支払いなどによって預金者を保護することもあります。
実際の手続きや払い戻しの時期は、破綻時の状況や処理方法によって異なります。
そのため、生活費や公共料金の引き落としに使う口座を1つの銀行に集中させている場合は、万が一に備えて別の決済手段を用意しておくと安心です。
ネット銀行の安全性を考えるうえで知っておきたい3つのリスク
ネット銀行を利用する際は、銀行そのものの破綻だけでなく、インターネットを通じた取引特有のリスクにも注意しましょう。
- 1. 銀行の経営破綻リスク
-
銀行も企業である以上、経営環境の悪化などによって破綻する可能性はゼロではありません。
預金保険制度は、そのような事態に備える仕組みです。
ただし、保護される金額や対象となる金融商品には条件があります。1,000万円を超える預金や外貨預金などを保有している場合は、保護の範囲を把握しておきましょう。
- 2. 不正ログイン・不正送金のリスク
-
ネット銀行では、インターネットを通じて口座にアクセスするため、ID・パスワードの流出やフィッシング詐欺などに注意する必要があります。
銀行の破綻による預金保護と、不正送金による被害への対応は別の問題です。
不正利用が疑われる場合は、すぐに金融機関へ連絡し、口座の利用停止など必要な対応を相談しましょう。
- 3. システム障害や通信環境のリスク
-
ネット銀行では、システム障害やメンテナンス、通信環境の問題などによって、一時的にログインや振込ができなくなる場合があります。
このような障害が発生したからといって、直ちに銀行が破綻したことを意味するわけではありません。
障害情報は銀行の公式サイトなどで確認し、復旧状況や案内に従って対応しましょう。
ネット銀行を安全に利用するための5つの対策
ネット銀行を安心して利用するためには、預金保険制度の理解に加えて、日常的なセキュリティ対策も重要です。
- 1. 預金保険制度の対象金融機関か確認する
-
口座を開設する前に、その金融機関が預金保険制度の対象となっているか確認しましょう。
また、銀行の名称だけでなく、実際に口座契約を結ぶ金融機関の名称も確認することが大切です。
- 2. 預金が1,000万円を超える場合は分散を検討する
-
同じ銀行に多額の預金を集中させている場合は、複数の対象金融機関に分ける方法があります。
例えば、生活費用の口座と貯蓄用の口座を別の銀行に分ければ、日常の資金管理もしやすくなります。
ただし、銀行を分ける際は、各銀行の手数料、利用条件、口座管理の手間なども考慮しましょう。
- 3. パスワードを使い回さない
-
銀行のログイン情報は、ほかのWebサービスと使い回さないようにしましょう。
推測されにくいパスワードを設定し、利用できる場合は多要素認証などのセキュリティ機能も活用してください。
- 4. 不審なメールやSMSのリンクを開かない
-
銀行を装ったメールやSMSから、偽サイトへ誘導されるケースがあります。
「口座が凍結される」「本人確認が必要」などと不安をあおるメッセージが届いても、記載されたリンクから安易にログインしないようにしましょう。
銀行の公式アプリや、あらかじめ登録した公式サイトから確認するのが基本です。
- 5. 別の銀行や決済手段も用意しておく
-
メインバンクがシステム障害などで一時的に利用できなくなる可能性も考え、必要に応じて別の銀行口座を持つことも選択肢です。
特に、給与の受け取り、家賃、公共料金、生活費などの支払いが1つの口座に集中している場合は、緊急時の対応方法を考えておくとよいでしょう。
ただし、複数口座を持つこと自体が必ずしも安全性を高めるわけではありません。管理できる範囲で使い分けることが大切です。
ネット銀行を選ぶときは安全性と利便性を比較しよう
ネット銀行を選ぶ際には、金利や手数料だけでなく、安全に利用できる環境が整っているかも確認しましょう。
比較するときの主なポイントは次のとおりです。
| 比較項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 預金保護 | 預金保険制度の対象金融機関か |
| セキュリティ | 多要素認証や不正利用対策があるか |
| ATM | 利用できるATMや手数料条件 |
| 振込手数料 | 他行宛て振込の無料回数や条件 |
| サポート | 問い合わせ窓口や障害時の告知方法 |
| 使いやすさ | アプリの操作性や入出金の利便性 |
安全性だけで銀行を選ぶのではなく、自分の利用目的に合った銀行を選ぶことが重要です。
Debit*Magazineでは、ネット銀行の特徴や口座開設の方法、金利・手数料などを比較する際に役立つ情報を紹介しています。
ネット銀行の安全性に関するよくある質問
まとめ:ネット銀行は預金保険制度とセキュリティ対策を理解して利用しよう
ネット銀行は、店舗がないからといって危険なわけではありません。預金保険制度の対象となる金融機関であれば、万が一破綻した場合にも、制度に基づく預金保護を受けられます。
この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。
- ネット銀行も、対象金融機関であれば預金保険制度による保護を受けられる
- 利息の付く普通預金や定期預金などは、原則として1金融機関につき元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護される
- 1,000万円を超える部分は、金融機関の財産状況などによって支払いが決まる
- 外貨預金は原則として預金保険制度の対象外
- 銀行の破綻だけでなく、不正送金やシステム障害への備えも大切
ネット銀行を選ぶ際は、金利や手数料、アプリの使いやすさだけでなく、預金保護の仕組みやセキュリティ対策も確認しましょう。
制度の内容を正しく理解し、自分の資金管理に合った銀行を選ぶことが、安心してネット銀行を利用するための第一歩です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。預金保険制度の対象範囲や個別商品の取り扱いについては、金融庁および各金融機関の公式情報をご確認ください。

